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中国、『山寨文化』から独自製品の創出になる?2010年9月24日

 最近、携帯音楽プレーヤーの「iPod touch」を「iPhone」に変身させる画期的な装置が中国の深センで現れた。これは河南省出身の潘磊・潘泳兄弟が開発した「アップルピール520」と名づけられた黒いカバーのことである。「iPod touch」に装着するだけで、「iPhone」に早変わりさせるこの装置は、中国技術界に議論を巻き起こし、商売人をうずうずさせ、珠江デルタ地域の「山寨」(模倣)力の国際的イメージを向上させている画期的製品だといわれている。

 この製品を市場で普及させるためには、まず知的財産権の問題を解決しなければならない。しかしこの製品は、奇抜なアイデアや活力にあふれる中国の「山寨文化」(※1)が創造活動の成長土壌のひとつとして認められる希望をもたらしたかもしれない。

 元々、機械設備を所有していない潘氏兄弟が自分たちだけでこのような装置を生産することは不可能だが、深センの「山寨文化」のおかげで、小さな工場を見つけて低コストでサンプルを作ることができたのである。「山寨工場」は、ノートパソコンなどの最新の電子製品をわずか1週間で模倣して製造する。品質は少々劣るが、模造品と正規品は驚くほど似ていて、専門家でないとその真偽を見分けることはできない。ただし、「山寨工場」にはひとつの致命的な弱点がある。それは、模倣して製造することには長けているが、オリジナルの製品を生み出すことができないことである。

 そこで、潘氏兄弟のような創意に満ちた人が自分たちのアイデアと「山寨工場」の製品組立技術を結びつけることができれば、たった2人でも全世界を揺るがすことができるのだ。

 中国の学校はますます多くの「デジタル住民」―情報技術に囲まれて育てられた人々を輩出している。こうした中、「アップルピール520」のような突飛な製品が生まれても不思議ではない。

 単なる偶然の一致かもしれないが、「アップルピール」が登場する数カ月前の4月、広東省の政府高官は「山寨製品がすべて権利侵害というわけではない」と述べ、他人の知的財産権を侵害しない山寨製品については奨励すべきだとの考えを示した。

 こうした発言は、「山寨文化は広東省の工業イメージ向上を図る推進力の一つになりうる」と広東省がはっきりと認識していることを示している。

 独自的な創出の促進を切に願うのならば、潘氏兄弟のような大衆発明家をいかに援助するかを考えるべきだろう。このような人々は経済的に苦しく、政府やビジネス界との人脈もなく、自分の発明をどのように守ればいいのかも知らない。彼らの活動を援助してこそ、「山寨文化」は繁栄・発展し、世界のステージに登るのであろう。


 ※1『山寨』はもともと昔、盗賊などが山中にこしらえたアジトを指す。『山寨文化』とは、ブランドモノの高級機器の模造品製作といった知的財産権侵害に当たる模倣品の製作や海賊版的なものから、パロディ的な物まねまでかなり幅広い意味で使われている。
 最近では、正規ライセンスを持たず製品開発力にも乏しい企業が、大手製品などを模倣したコピー商品を生産することを指して使われる。代表的なものには携帯電話があり、大手製品に遜色ない機能を有しながら価格設定が低めのため、低所得者の注目を浴びている。

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