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中国で賠償判決金額が最高の知的財産権事件、「執行難」2010年10月22日

 2000年末、8年を費やした難しい訴訟であり、中国の環境保護分野の重大な渉外知的財産権事件である武漢晶源環境工程有限公司(以下、「武漢晶源」という)が日本の富士化水工業株式会社(以下、「富士化水」という)及び米系企業の華陽電業有限公司(以下、「華陽公司」という)を訴えた特許権侵害事件が、勝訴に終わった。しかし、9ケ月以上も過ぎたが、武漢晶源は受け取ったのは次々に届いた執行猶予通知書であった。中国で初めて最高人民法院が5人の大合議廷を採用して公開審理した、最も高い賠償判決金額のこの重大な知的財産権事件が「空虚な判決」となって、外国側の侵害が続き、企業の損害が激しくなることを武漢晶源の責任者は憂慮している。

 武漢晶源は、中国で初めて「二酸化硫黄の排出削減技術」に取り組んだ専門の会社であり、国際特許を含む一連の独自知的財産権を保有している。このうち、天然の海水で硫黄の排出削減を実現した発明特許は、1995年に中国国家知識産権局へ出願し、1999年9月に特許権を付与されている。

 当該事件の被告の一つである米系企業の華陽公司は、福建省後石に独資の大型火力発電所を建設した。誤って当該事件のもう一つの被告である富士化水の「マグネシウム法による脱硫工程設備」を購入したことによって大きな技術問題に出会ったが、武漢晶源の助力を求め、先端的な海水法による脱硫技術を採用することにより、脱硫問題が順調に解決されただけでなく、発電の効果と利益も引き上げられた。

 しかし、華陽公司は、2000年初めに火力発電所のプロジェクトを完成した後、脱硫で採用したのは日本の富士化水と欧米の従来技術であると発表し、中国の技術の採用を否定した。

 侵害当事者との1年以上の協議に何も得るところがなく、武漢晶源は、2001年9月に福建省高級人民法院(以下、「福建高院」という)へ訴えを提起した。しかし、被告は5回にわたり特許の無効審判請求をしたが、いずれも却下された。

 2008年5月、福建高院の第一審判定では、被告の侵害を認めたが、第一審では両被告の侵害の共同責任が確実にされなかったことから、武漢晶源は最高人民法院へ上訴した。2008年11月、最高人民法院は大合議廷を構成して公開審理し、200名近くの全国人民代表大会の代表、政治協商会議の委員、外国政府及び国際機関の中国駐在機構の代表、並びに学者・専門家及び一般公衆を傍聴に招いた。

 2009年11月21日、最高人民法院は、富士化水、華陽公司が武漢晶源の特許権侵害行為を共同して実施したと認める最終審判決を下し、武漢晶源に5,061万元(約6億3684万円)の損害賠償を共同して支払うよう両企業に判決した。

 しかし、勝訴の後、武漢晶源は期限どおりに巨額の賠償金を手に入れたのではなく、それぞれ4月と8月に「執行猶予決定」を受け取った。法律専門家は「当該事件は最終的に福建省順昌県の人民法院が執行することになった、すなわち、執行機関のランクが3つ格下げだった、これはこのような重大事件の中では極めて珍しいことである。しかも、2回の執行猶予決定が適用した司法解釈は同じではなく、1回目に適用されたのは2002年に発表された【執行猶予措置の正確な適用に係る若干問題に関する規定】であり、2回目に適用されたのは1998年に公布された【人民法院の業務執行に係る若干問題に関する最高人民法院の規定(試行)】であり、これは【特別法は一般法に優先する】、【新法は旧法に優先する】の原則に反する」と述べた。専門家は、知的財産権の保護において中国企業と外国企業に平等な待遇を与えるべきであると呼びかけている。

 武漢晶源の責任者は次のように述べた。外国企業に比べて国内企業の知的財産権保護はより困難である、国際資本と従来の勢力と同時に戦わなければならないからである。第2回執行猶予期間の3か月が終わったら、関係各方面が迅速且つ着実に判決を執行して、企業の適法な権益を保護し、「中国のイノベーション」を保護することができるよう期待している。

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